GTではチャンピオン争いが佳境に
2025-01-11 しまんちゅレーサーのレース奮闘DIARY
平良響選手奮闘記 しまんちゅレーサーのレース奮闘DIARY!!
’24年11月ふりかえり
11月に入ると駆け足で秋が深まった感じだったが、平良響にとっては、毎週毎週、あれこれと多忙なレースウィークを過ごすことになり、おそらくは秋の紅葉を味わう時間もなかったのではないだろうか。とはいえ、ドライバーは”走ってナンボ”ということで、これこそが理想的な!? 週末の過ごし方かもしれない。
まず、今シーズンのメイン活動といえるSUPER GT第8戦もてぎから。本来ならば、このレースをもって今シーズンの戦いが終わるところだったが、第5戦が台風接近で延期されたため、第8戦は最終戦ではなく、シーズン7戦目として開催された。佳境を迎えるチャンピオン争いを考えると、もてぎはとっても大事な一戦。前回のオートポリスは自ら招いたレース中のミスで2位に甘んじているだけに、今大会ではベストレースをしたいところ。だが、予選日のもてぎは本降りのウエットコンディション。Q1では満を持してアタックに向かい、終盤にタイムアップを狙ったが、コース上で足下をすくわれてスピン、コースアウトする車両が⋯⋯。これで赤旗中断となり、さらにそのままセッション終了という最悪のパターンに陥った。結果、Q1で上位14台に残れず、Q2はL15での出走に甘んじたことで、No. 2 muta Racing GR86 GTは予選16番手に。極めてタフなポジションから決戦を迎える。
予選とは打って変わってドライコンディションでの戦いとなるなか、ポジションアップを狙って尽力するも、ストップ&コ゚ーのレイアウトが特徴のもてぎは、とにかく抜きづらい。流れも作れずひたすら我慢の展開になり、レースも13位フィニッシュ。これまで続いてきた入賞が途絶える事態となった。タイトル争いでもライバルとの差も開き、厳しい状態に。もはや最終戦はポール・トゥ・ウィンで締めくくるしかない!
続く2週目は鈴鹿サーキットでの全日本スーパーフォーミュラ選手権。7月の富士以来となるスポット参戦だ。今大会では、土曜、日曜とそれぞれ1日で予選と決勝を行なう短期決戦。臨機応変に対応することが求められる難しい戦いだが、次のステップに繋げるためにも掴んだチャンスを最大限活かしたいところ。しかしながら、予選から決勝までの限られた短い時間のなかで、あれこれと作業を進めることもまた難しい。初日の第8戦は18位からスタートするも、ルーティンのピット作業後、コース復帰直前に右リヤタイヤが脱落するというアクシデントが発生。走りたくとも走れない状態となり、万事休す。思わぬ形で初日の戦いを終えた。2日目の第9戦は気持ちを入れ替え、予選に挑むもグリッドは19位。だが、トラブルもなくレースでは攻防戦を制してポジションアップも決めて見せた。結果としては17位チェッカーとなったが、中身のある戦いをしてみせた。全9戦のうち、4レースに出場し、SFならではの難しさを学ぶなかで、ドライバーとしての成長にも繋がったはず。ぜひ、来シーズンはレギュラードライバーとしての参戦を実現してもらいたいところだ。
鈴鹿でのフォーミュラレースの次は、富士でのスーパー耐久シリーズ。こちらはST-2クラスでシリーズチャンピオン争い中のKTMSチームの”助っ人”ドライバーとして参戦。チームへの合流は2年ぶりだったが、しっかりと仕事をこなしてチームのクラスチャンピオン獲得に大きく貢献している。そして、最終週はというと、GR86/BRZ Cupでモビリティリゾートもてぎへ。34台が出走するプロフェッショナルクラスでの予選は、25位。1000分1秒単位でグリッドが変わるという極めてシビアな戦いだったが、決勝は22位に。ポイント獲得が遠いシーズンだったといえる。
また、今回は翁長実希選手のレース活動の様子もお伝えしたい。富士のS耐で併催イベントとしてKYOJO CUPのエキシビションレースが行なわれ、翁長選手はレース1、レース2の両ポールポジションを獲得。速さあるパフォーマンスをしかとアピールし、優勝を目指した。レース1ではトップを周回していたが、激しい2位争いを経て後続2台がペースアップ。タフなバトルの末にファイナルラップで逆転を許し、3位となった。翌日のレース2はウエットパッチのなか、難しいコースコンディションとの戦いに。スタートを決めた翁長だったが、前日同様後続車の追い上げに遭い、またしても3位に甘んじる結果となった。また、月末のもてぎではGR86/BRZ Cupに参戦。平良選手と同じ土俵で戦いに挑んだ。
12月には、いよいよSUPER GT最終戦鈴鹿大会が待ち受ける平良。ハードルはとてつもなく高いが、まだチャンピオン獲得の可能性もあるだけに、がむしゃらに目標に向かって全身全霊で臨むだけだ。
(text:島村元子/photo:RACING japan PRESS)