暑さを熱さに変えて!? GTレースで奮闘
2025-09-08 しまんちゅレーサーのレース奮闘DIARY
しまんちゅレーサーのレース奮闘DIARY!!_’25年8月振り返り

暑い、暑いと書いているだけでも十分に暑さを感じた8月の猛暑。そんななかでも毎週のようにサーキットで何らかクルマを走らせているのがドライバー。一方、平良響にとっての8月は、メインの”お仕事”と言えるSUPER GTが2戦行なわれるというタフなスケジュールとなった。シーズンもいよいよ後半戦へ突入したが、引き続き”熱い”パフォーマンスを披露している。

年間全8戦でチャンピオン争いを繰り広げるSUPER GT。6月末に行なわれたマレーシアでのレース終了後、大半の車両が船便で日本へと戻ることから、7月は”夏休み”に。その流れもあって、8月は富士と鈴鹿で2イベントが開催された。まず、第1週に行なわれた富士スピードウェイでの戦いは、SUPER GT史上初となる「スプリントレース」を実施。通常、GTではふたり(場合によって3人にもなるが)のドライバーが1台の車両をシェアする形で300km〜 のレースを競うが、富士の一戦はスプリント、つまりいつもより短い距離をひとりのドライバーが競うスタイルで行なわれた。当然、ピットでのドライバー交代もなく、タイヤ交換や給油も不要。加えて、レースフォーマットに変化をもたせるため、初日はGT500クラスとの混走、2日目はGT300クラスだけというスタイルに。レースウィーク直前には、台風接近の可能性もあったが、幸いにして影響を受けることはなかった。


平良は初日のレースに出場。まず午前の予選に臨むとファステストラップをマークし、2番手に0.2秒強の差をつけてポールポジションをゲット! これまでのレース戦績によって得たサクセスウェイトも関係なく、ノーウェイトでの戦いだったため、当然ながら優勝向かってまっしぐら! だったのだが……。午後からの決勝は、GT500クラス車両との混走ということもあってか、バトルするなかでペースが思うように上がらず逆転を許すことに。また、レース終盤にはポツリポツリと雨が落ち始め、不安定なコンディションとなって逆襲のチャンスにも恵まれないままチェッカーを迎え、結果、6位入賞となった。一方、翌日は、コンビを組む堤優威選手が予選3位から決勝2位表彰台を獲得! チームとしてキチンとポイントゲットを達成し、ランキング3位で第5戦鈴鹿に向かうこととなった。

その鈴鹿戦は、とんでもなく厳しい暑さのなかで開催。太陽ギラギラ、路面温度も軽く50度超え! という過酷な一戦になる。鈴鹿の戦いを前に、改めてBoPの見直しが行なわれたことを受け、いっそうタフな条件下で戦いに臨むことになる。また、サクセスウェイトが97kgとなり、実際に搭載するウェイトは上限の50kgとなるも、その代償として給油リストリクターの径の調整を併用したハンディが課されることになる。この給油流量リストリクターは「サクセス給油リストリクター」とも呼ばれ、ピット作業で給油を行なう時間を強制的に長くする仕組み。軽く10秒以上余計にピットストップする形になると言われている。いくらチームがノーミスで一連の作業を済ませたところで、すぐさまピットを離れることができないのだ。その分、慌てず作業できると割り切るしかないのだが、チャンピオン争いを意識したライバルとの戦いを少しでも有利にしようと、チーム一丸となって奮闘した結果、まずは平良がQ1・B組を5番手通過し、Q2では堤選手がクラス総合7番手を獲得し、決勝に挑んだ。







ランキング争いするライバルたちも負けじと奮闘するタフなレースになるなか、トラブルなく300kmを走破。スタートドライバーを務めた平良が序盤を担当し、ポジションキープの走りを続ける。懸念されたピット作業では、結果的に従来よりおよそ15秒のロスタイムを生んでしまい、レース後半は条件的に厳しい戦いを強いられた。だが、コース上で粘りの走りを見せて12位フィニッシュ。手堅い戦いを完遂させたことで、ポイントランキングは3位と変わりないものの、トップとの差を縮めることに成功し、8月のタフな戦いを締めくくっている。
(text:島村元子/photo:RACING japan PRESS)